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ジジイがしぶといと何故か楽しい!『カムバック・トゥ・ハリウッド』 [銀幕(これまた古い)のイケメン]

コロナ禍にあっては、元気の出る映画が観たい。
作る側もきっと、映画で客を元気にしたい。

『カムバック・トゥ・ハリウッド』は、
そんな気分にピッタリでございましたよ!!


借金まみれの崖っぷち映画プロデューサーが、
保険金めあてで詐欺をはたらくことを思いつき、
捨てゴマの脚本と捨てゴマのスタッフ、それに捨てゴマの俳優を集めます。
撮影初日に事故ってもらって、保険金をせしめる魂胆ですが、
果たして目論見どおりに行くのでしょうか...?


まぁ「果たして目論見どおりに」とか言ってる時点で、
目論見どおりにいかねえんだなというのが明白でございますが。

アイデアは『プロデューサーズ』とよく似ているようだし、
ぜんぜん目論見どおりにいかない(笑)という可笑しさも同じなのですが、
なぜか、まったく違ったテイストの、
まったく違ったテーマの映画に仕上がってる感じがします。

それはたぶん、本作のメイン爆笑ポイントが、
「ジジイ死なねえ!!」
という部分にあてられているからではないでしょうか。

事故死してもらう気満々で呼んだ、死にたがりの老俳優。
これが、ぜんぜん死なない!!
プロデューサーの思惑がハズレまくる可笑しさだけでなく、
「死ぬ死ぬ言ってるジジイに限って超しぶとい」
という、ほんのり不謹慎ながら妙に活力の湧いてくる笑いなのです。

また、「しぶといジジイ」なのは老俳優に限りません。
絶対ダメだろ(いろんな意味で)...という悪巧みを、
性懲りもなく繰り返すプロデューサーもしぶといジジイ。
プロデューサーを恫喝して借金を取り立てるマフィアも、くえないジジイ。
濃いジジイ祭!!


本人の自殺願望とは裏腹に強キャラな老俳優を、
トミー・リー・ジョーンズが演じれば、
「これだから役者って連中は!」と言いたくなるような、
シャキッとした映画スターの輝きがスクリーンによみがえり、

映画のためなら詐欺も辞さないプロデューサーを、
重厚な役作りで有名な(ハズの)ロバート・デ・ニーロが演じては、
まるで高橋留美子作品のよーに宙を吹っ飛んでみせるコメディっぷりで、
「これだから映画プロデューサーって連中は!」と言いたくなり、

ヒューマニズム作品のイメージが強いモーガン・フリーマンが、
金は命より重いを地で行くマフィアを演じれば、
...でもやっぱり「これだから映画好きの連中は!」って言いたくなって、


なぜだろう。
映画っていいな、って気持ちで帰路につく。


ついつい憂鬱になるコロナ渦中の世界に、
こんなにもふさわしい作品だったのでありました。
あとどーでもいいけど、作中で架空のB級映画として登場する『尼さんは殺し屋』、めっちゃ観たい。


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