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『積みすぎた箱舟』読んだ [本のイケメン もしくはイケメンの本]

古来より「敵の敵は味方」と申しますが、
リネンに言わせれば「好きの好きは好き」です。
生物ライター・平坂寛のファンとあらば、
彼が「子どもの頃のバイブルだった」という、ジェラルド・ダレルの『積みすぎた箱舟』、
読んでみないワケにはまいりますまい。

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本を開いてわずか3分。
主人公である著者が、初めてアフリカ大陸に渡る、冒頭の場面。

「船は朝霧を、そのへさきで押し分けながら進んでいた」
「海面は、まるでミルクのように、とろりとして静かだった」
「太陽の円光が、霧をすかして、濡れたようにぼうっと見えている」ーー

なにこれ。
超ウツクシイ。
ほぼ、ファイナルファンタジーのオープニングじゃん!!

リネンは、1ページで早くも理解したのです。
どうして平坂さんの書く文章が、あんなに生き生きとして面白いのか。
この本がお手本なんだから、そりゃそのハズだよ!


物語の舞台は、1947年。
イギリスの動物園で飼育したり研究したりするため、
動物を捕まえに、アフリカに行く話です。

会話文の一人称が何故か「わし」なので、
おじいさん感(もしくは広島県人感)が出ていますが、
25年生まれのダレルはこのとき、え~っと・・・
・・・22歳?!

生き物が好きすぎるおにーさんが、
異国の地で、
現地の人にドン引きされながらヘビを生け捕ったり、
輪っかにしたロープを手に、オオトカゲ相手に大捕物を繰り広げたり、
ジャングルを強行してアリやハチに刺されまくったりする、冒険記。

・・・ん。なんかすごい既視感あんぞ。


終盤に進むにつれ、なにか「憂い」みたいなものが漂いはじめる筆致にも注目です。
しかも、その憂いが濃くなるほどに、
いよいよキレを増す、情景描写の美しさ!

赤い土。
複雑な緑の密林。
湖に浮かぶ島と、そこにある集落・・・

気の抜けないハードな日々だったけど。
自然も天候も厳しかったけど。
現地の人とのコミュニケーションに、苦労もさせられたけど。
だけど、
それもこれも含めて、

アフリカが、アフリカの生き物が、どれだけ好きか。

読者も一緒になって、
「えーもう終わり?」「もう帰らなきゃいけないの?」
という感傷に陥ります。
夏休みの終わりに、ヒグラシの声を聞いたような気分。


アフリカに対するジェラルド青年の「夏の恋」を、
応援したくなること必至です。


古い本なので、現代の基準だと速攻で言葉狩られそーなワードが連発されてます。
・・・が! 個人的にはそこが、時代の息吹を感じられてイイ!
思うに、元の内容はもちろんだけど、翻訳がコレ名訳なんじゃないかな・・・
確認のため英語で読んでみたいな(読める気はしない)


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